天才!成功する人々の法則

天才!  成功する人々の法則

天才! 成功する人々の法則

講談社さんより、ゲラの一部を読ませていただき書評します。

筆者のマルコム・グラッドウェルの本は、何冊も読みました。私も大好きな作家の一人です。
以前からこの本が面白いということは聞いていましたが、ついに待望の日本語訳の登場です。

天才はどのようにしてうまれるのかということを、「天賦の才」だけで、天才は生まれないということを、いろいろな事例を通して説明してくれています。
キーワードは、「一万時間費やす」こと。
私自身も、好きなことでも突き抜けた天才になろうと思えば、1万時間費やす環境がなければならないということです。
そう考えると、才能+環境というラッキーがないと、突き抜けた天才にはなれないんですね。

書評遅くなりましたが、発売されたら買ってまた、書評したいとおもいます。

実録連合赤軍 あさま山荘への道程ー空気と権力の正体を映像化した傑作

実録・連合赤軍 あさま山荘への道程 [DVD]

実録・連合赤軍 あさま山荘への道程 [DVD]

くりらじの「深夜の遠吠え」でBJさんが絶賛していたので、DVDで見てみました。
ストーリーは、「実録」とあるように、ブントといわれる学生運動から発生した連合赤軍浅間山荘事件を起こすまでの経緯を、実際に起きた事件を時系列で並べながら、映画化したものです。

革命という理想をかかげた若者たちが、なぜ総括という名の下に仲間を殺害し、犯罪行動に走っていったのかという狂気の発生する空気と、その理由を見事に映像化しています。

山での軍事訓練に水筒を忘れたと言うだけで「自己批判せよ」
メンバーがどんどん逮捕されていくと、「一人一人が革命戦士として共産化しなければならない、それには総括しなければならない」と、リンチを加えて「失神して目が覚めたら共産化している」とか、こんなことをやっていたのかと驚くばかりでした。

村上春樹正論原理主義で言っていたことが、ここで描かれています。
革命という理屈上での正論(その集団では)を大声で振りかざし、その名の下に人を支配していく様子。
また、総括されたくない(殺されたくない)という恐怖心から、たとえおかしいと思っていなくても自分の意見が言えない空気と、それに飲まれていく連合赤軍のメンバーの姿に、いまの社会を覆っている「空気」というものが非常によく映像化されています。
正論をかざして人を支配していくという狂気と、それを振りかざすもの自身が権力という力に飲み込まれていく様子、それを止められない人間の弱さが、おかしな方向へ人を走らせていったのだと思います。

オウム真理教もきっとこうやって破壊カルト化していったのだと思います。

最後の最後に、あさま山荘へ立てこもったメンバーが、追い詰められいよいよ最後になったときでも、自身の革命という名の下に自己のやってきたことを肯定的に語る場面で、最年少の10代の少年が涙ながらに、訴えかける場面に監督のメッセージが集約されています。

おかしな理屈にふりまわされたり、空気にながされたり、戦わなかったり、戦う相手を作り上げて自己を正当化している、うさんくさい人、決して強くない多くの人に向けられた監督のメッセージが非常に大きな感動でした。

特に10代の人には絶対見て欲しい、また新しく社会人になる方に見て欲しい映画です。
大、大 お勧めします。

この世で一番大事な「カネ」の話

この世でいちばん大事な「カネ」の話 (よりみちパン!セ)

この世でいちばん大事な「カネ」の話 (よりみちパン!セ)

西原理恵子が、自身の貧乏な境遇から現在までの半自伝を通して、「カネ」とはどういうものかを書いた本です。
非常に感銘を受けました。

とくにギャンブルについて、自身がギャンブルで大変な目にあったことを通して以下のように書いています。

ギャンブルっていうのは、授業料を払って、大人が負け方を学ぶようなものじゃないかな。その授業料を払って、大人が負け方を真名分じゃないかな。その授業料を「高い」って思うんなら、やらないほうがいい。まして本気で儲けようだなんて思う方が、間違い。

人間って戻れないのよ。引き返すのがものすごく、ヘタ。

負け方を学ぶというのはその通りだと思います。ギャンブルで儲かったというのはほとんど聞いたことがない話です。
「負けるものだ」と思ってやっている人は、ほとんど無いかもしれませんが。

「カネ」は「カネ」でも、それはワンクリックで増えたり、減ったりする数字の羅列で、その数字には世界の政治や経済が反映されてはいるんだろうけど、やっぱりただの「情報」みたいに見えてしまう。

これは、FXに手を出したときの章に書いているものですが、ギャンブルの本質を当てていると思いました。
株やマネーゲーム、近いところではパチンコなどがなぜ人をおかしくするのかというと、株券、パチンコ玉、馬券、全部カネを別のものにかえて勝負していますが、それは重みのある「カネ」ではなく、情報としての「カネ」なのです。

わたしは思うんだけど「損したくない」ってことばかり考えていると、人ってずるくなるんだよ。少しでも人より得しようって思うから「だったら、ズルしちゃえ」っていう気持ちが出てきてしまう。ささいなきっかけで、それがどんどん卑しい行為に結びついてしまう。

カネによって、人間関係も変わってきます。
貧しさが、上記のように人を変えていきます。あまりに貧困になると、人の希望を奪っていきます。

考えることをあきらめてしまうなんて、人が人であることを諦めてしまうにも、等しい。
だけど、それがあまりにも過酷な環境をしのぐための唯一の教えになってしまう。

貧困国がなかなか、貧困から抜け出せない構図を描いています。

希望をもって、はたらき続けることが、生きることでもあります。
カネとは、その人の人間関係を形作るもので、カネでカネを増やそうとすれば、損したくないと思い、人間性をゆがめていくのだと言うことが知らされました。

リアルなカネの話でした。おすすめします。

君たちはどう生きるかー吉野源三郎著ー人として大事なことは何か?

君たちはどう生きるか (岩波文庫)

君たちはどう生きるか (岩波文庫)

戦前に発行された本ですが、非常にいい本でした。
中学生1年生のコペル君という少年が主人公となり、コペル君の目を通して、人間としてのありかたを書かれているものです。
中でも、コペル君のおじさんが書いたメッセージノートが秀逸です。
コペル君というのは、コペルニクスからきたニックネームですが、地動説をとなえたコペルニクスの話を通して、以下の話が展開します。

自分たちの地球が宇宙の中心だという考えにかじりつていた間、人類には宇宙の本当のことがわからなかったと同様に、自分ばかりを中心にして、物事を判断してゆくと、世の中の本当のことも、ついに知ることができないでしょう。大きな真理は、そういう人の眼には、決してうつらないのだ。(P27)

自分中心のものの見方だけでは、決して大きな真理には到達できないと言うことが、わかりやすく書かれています。
そして、自分で考えると言うことについては、以下のようにおじさんは書きます。

ある時、ある所で、君がある感動を受けたという、繰り返すことのない、ただ一度の経験の中に、そのときだけにとどまらない意味のあることが分かってくる。それが、本当の君の思想というものだ。これは、むずかしい言葉でいいかえると、常に自分の体験から出発して正直に考えてゆけと言うことなんだが、このことは、コペル君!本当に大切なことなんだよ。ここにゴマ化しがあったら、どんなに偉そうなことを考えたり、行ったりしても、みんな嘘になってしまうんだ。(P54)

「本当に感じたこと」という感動、体験が出発点にないと、それは、自分自身の言葉でない、自分自身の考えではないものになってしまいます。ただ生きていればいいのではないということを、コペル君の友人とのエピソードを通して、人を裏切らないこと、人を差別しないこと、など大事なことが書かれています。
大人になって読んでも、反省させられることばかり。
是非とも一読をおすすめします。

バンテージポイント

【ストーリー】
スペイン・サマンカ、マヨール広場。国際テロ対策の首脳会議が開催される会場にて、アシュトン米大統領への狙撃事件が発生。事件の鍵を握る重要な目撃者は8人いたが、彼らが異なる地点・立場から見たものは違っていたーー。現場にいたシークレット・サービスのトーマス・バーンズは、事件の裏に隠された真相をたった1人で追い始めるが…。(amazonより)

前評判も高かったので期待してみましたが、これは大正解でした。おもしろかったです。
最初は、首脳会議の会場を中継するテレビクルーの移動スタジオのなかから事件をみせて、テレビカメラ視点なので、当然全体がわかるはずもなく、狙撃がどこから行われたのかも、狙撃後会場の外や、中で爆発事件がつづけざまに起きるのも何が起きているかわからない状況です。

その正午から、大統領暗殺までの23分間とその前後が、登場人物の別の視点で8回繰り返すことで、事件の全貌がだんだんと知らされてくるとういう構成です。

最初はテレビカメラ、次にシークレットサービス、その場にいた警官、ただの見物人、大統領本人、実行犯のなかでも複数の視点から、それぞれ微妙に時系列の先や元にもどしながら進めていきます。

黒沢映画の羅生門のような、視点を変えるとこうも、全体像は変わって見えるのかと思わせる脚本にとても満足がいきました。

最後、視点をかえていった当事者同士が、事件のラストにむけて集結していく様子は、「そんなわけないじゃん」というところもあるものの、非常におもしろかったです。

これはおすすめの映画です。

ヤバイ経済学

ヤバい経済学 [増補改訂版]

ヤバい経済学 [増補改訂版]

相撲の八百長が行われる可能性や、犯罪が減少した原因について、インセンティブと、データを活用してわかりやすく説明した本です。

アメリカで犯罪が減少した原因は、中絶が行われるようになり、望まれない出産や、恵まれない環境での出産が減ったためという、考えてみれもそうですが、なかなか厳しい現実が目の前に出ていました。

いつの世の中でもそうなのでしょうが、なかなか現実というのは厳しいものです。

巻末に紹介してあった、名前とその後の成功の下りは、考えてもみれば人の名前と、個々人の成功不成功は関係ないのですが、あらゆる名前のデータを回帰分析することによって、その名前が関係ないと言うことはよくわかりました。

常識にとらわれないためにという点で、データをどのようにみるか、インセンティブについてどのように考えるか非常に参考になるおもしろい本でした。
おすすめ。

ビジネスマンのための「数字力」養成講座

経営コンサルタントの小宮一慶さんの「養成講座」シリーズの1冊です。

数字の特徴は、分かりやすさと、具体化できるということです。

「さいきん上がってる」「下がっている」というような会話を聞いた時に、「どれくらい上がっているのですか?」「具体的にはいくら上がったのですか?」と数字を常に気にすることが大事だと言うことが書かれています。

ある程度推定できるようになるには、基本的な数字を覚えておくとよいということで、覚えておくといい数字一覧がありました。

メモ


日本の労働人口 約6750万人

今年の国家予算 約83兆円

年金受給者の数 国民年金2395万4千人 厚生年金2315万6千人

現在の出生率 1.31

日本の世帯数 4678万2千戸