この世で一番大事な「カネ」の話
- 作者: 西原理恵子
- 出版社/メーカー: 理論社
- 発売日: 2008/12/11
- メディア: 単行本
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非常に感銘を受けました。
とくにギャンブルについて、自身がギャンブルで大変な目にあったことを通して以下のように書いています。
ギャンブルっていうのは、授業料を払って、大人が負け方を学ぶようなものじゃないかな。その授業料を払って、大人が負け方を真名分じゃないかな。その授業料を「高い」って思うんなら、やらないほうがいい。まして本気で儲けようだなんて思う方が、間違い。
人間って戻れないのよ。引き返すのがものすごく、ヘタ。
負け方を学ぶというのはその通りだと思います。ギャンブルで儲かったというのはほとんど聞いたことがない話です。
「負けるものだ」と思ってやっている人は、ほとんど無いかもしれませんが。
「カネ」は「カネ」でも、それはワンクリックで増えたり、減ったりする数字の羅列で、その数字には世界の政治や経済が反映されてはいるんだろうけど、やっぱりただの「情報」みたいに見えてしまう。
これは、FXに手を出したときの章に書いているものですが、ギャンブルの本質を当てていると思いました。
株やマネーゲーム、近いところではパチンコなどがなぜ人をおかしくするのかというと、株券、パチンコ玉、馬券、全部カネを別のものにかえて勝負していますが、それは重みのある「カネ」ではなく、情報としての「カネ」なのです。
わたしは思うんだけど「損したくない」ってことばかり考えていると、人ってずるくなるんだよ。少しでも人より得しようって思うから「だったら、ズルしちゃえ」っていう気持ちが出てきてしまう。ささいなきっかけで、それがどんどん卑しい行為に結びついてしまう。
カネによって、人間関係も変わってきます。
貧しさが、上記のように人を変えていきます。あまりに貧困になると、人の希望を奪っていきます。
考えることをあきらめてしまうなんて、人が人であることを諦めてしまうにも、等しい。
だけど、それがあまりにも過酷な環境をしのぐための唯一の教えになってしまう。
貧困国がなかなか、貧困から抜け出せない構図を描いています。
希望をもって、はたらき続けることが、生きることでもあります。
カネとは、その人の人間関係を形作るもので、カネでカネを増やそうとすれば、損したくないと思い、人間性をゆがめていくのだと言うことが知らされました。
リアルなカネの話でした。おすすめします。