実録連合赤軍 あさま山荘への道程ー空気と権力の正体を映像化した傑作
- 出版社/メーカー: CCRE
- 発売日: 2009/02/27
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ストーリーは、「実録」とあるように、ブントといわれる学生運動から発生した連合赤軍が浅間山荘事件を起こすまでの経緯を、実際に起きた事件を時系列で並べながら、映画化したものです。
革命という理想をかかげた若者たちが、なぜ総括という名の下に仲間を殺害し、犯罪行動に走っていったのかという狂気の発生する空気と、その理由を見事に映像化しています。
山での軍事訓練に水筒を忘れたと言うだけで「自己批判せよ」
メンバーがどんどん逮捕されていくと、「一人一人が革命戦士として共産化しなければならない、それには総括しなければならない」と、リンチを加えて「失神して目が覚めたら共産化している」とか、こんなことをやっていたのかと驚くばかりでした。
村上春樹の正論原理主義で言っていたことが、ここで描かれています。
革命という理屈上での正論(その集団では)を大声で振りかざし、その名の下に人を支配していく様子。
また、総括されたくない(殺されたくない)という恐怖心から、たとえおかしいと思っていなくても自分の意見が言えない空気と、それに飲まれていく連合赤軍のメンバーの姿に、いまの社会を覆っている「空気」というものが非常によく映像化されています。
正論をかざして人を支配していくという狂気と、それを振りかざすもの自身が権力という力に飲み込まれていく様子、それを止められない人間の弱さが、おかしな方向へ人を走らせていったのだと思います。
オウム真理教もきっとこうやって破壊カルト化していったのだと思います。
最後の最後に、あさま山荘へ立てこもったメンバーが、追い詰められいよいよ最後になったときでも、自身の革命という名の下に自己のやってきたことを肯定的に語る場面で、最年少の10代の少年が涙ながらに、訴えかける場面に監督のメッセージが集約されています。
おかしな理屈にふりまわされたり、空気にながされたり、戦わなかったり、戦う相手を作り上げて自己を正当化している、うさんくさい人、決して強くない多くの人に向けられた監督のメッセージが非常に大きな感動でした。
特に10代の人には絶対見て欲しい、また新しく社会人になる方に見て欲しい映画です。
大、大 お勧めします。