商売の原点−顧客第一と基本の徹底が大事

鈴木敏文 商売の原点 (講談社+α文庫)

鈴木敏文 商売の原点 (講談社+α文庫)

セブンイレブンを日本一のコンビニチェーンにした鈴木敏文氏が、毎週全国の店舗担当マネージャーに語った商売の原点を一冊の本にまとめたものです。これも、経営のことを知るときに読むべき1冊と思います。スゴイです。

品揃え、鮮度管理、クリンリネス(清潔)、フレンドリーサービス−−これが私どもの商売における基本原則です。
(略)
基本を徹底し、それを永久的に持続することが、店の体力増強につながります。店の体力が落ちているのに、どうして売り上げがのびるでしょうか。

この4つの基本原則が、すべての発想、行動の原点であり、それをいかに徹底するか。
それ一つをやっているところがスゴイです。お客さま第一主義。

それ(基本原則)を阻害している一つ一つの要素を潰していくことです。
それをつぶしきったところで初めて、お客さまに受け入れられるのです。

それに反するものが「アロケーション

一方的に割り当て、押しつけ、送りつけるといういみです。その典型が書籍の出版・販売のせかいです。出版社は自分たちの思いで出版しているだけ。取り次ぎはできたものを書店にただ送りつけているだけ。

確かにこういう出版社は、今後はどんどん潰れていくのだと思います。消費者(お客さま)の、本当に欲しがっているものを見つけ、提供していかねばなりません。

消費者社会になり、消費者の要求も高くなってきました。
しかし、鈴木氏はこういいます

ことあるごとに、私は「過去を捨てなさい」と言い続けてきました。
(略)
お伽□草間の期待が高まり、クレームの質的レベルが上がってくるのは、たしかにたいへん苦しいことです。しかし、だからこそ、われわれにはやりがいがあるのです。
私たちはお客様から、自分自身を磨き、より高い次元に高めていけるチャンスをいただいているのです。

小売りの世界でもそうです。何でも出せば売れる時代はもう過ぎました。
競合店ができて売り上げが落ちたとしてら、それはそれだけその店に基本原則がかけていたからだとも書いてありました。

この基本原則は、小売業だけにかぎらず、どの業種でも通じる本当に大事なことと思いました。
一人のお客さまを大事にし、その信用をいかに高めていくか。
最後にこの部分を引用します。

惰性に陥ることを排し、一人のお客さまを獲得する、一人のお客さまに満足してもらう、一人のお客さまからも苦情が出ないようにする、そういうことをいつも念頭において、徹底して質の高い仕事に踏み込んでいかなければならないのです。

頭が下がりました。
非常にお勧めの1冊です。