ウェブ時代をゆく

ウェブ時代をゆく ─いかに働き、いかに学ぶか (ちくま新書)

ウェブ時代をゆく ─いかに働き、いかに学ぶか (ちくま新書)

梅田望夫氏の新刊を読んでみました。

ウェブの進化が、私たちの暮らしや、働き方、生き方に大きな変化を与えつつある時代に、どう働いていくのかと言うことに対して、前向きなメッセージを発してくれる本でした。

この本のように。こうやって前向きにサバイバルしていこう、好きなことを貫こう、好きなことに没頭できる分野で、評価される時代が来ている、好きなことを貫いた結果食べていける時代が来るんだと、敢えて言って見せてくれるのは、数あっても少ないと思います。

マスコミ報道も、暗いニュースが多く、若者の多くも、何をしたらいいのか分からない。自分が何をしたいのか分からないという人が多くあります。

この書で紹介してある、「ロールモデル思考法」は、いろいろな本や情報に身をさらし、自分がこれはいいと思った部分を自分に取り込んでいくという方法です。

生き方が多様化している現在、単に「医者」とか「サラリーマン」と言った言葉では、仕事は語れなくなってきました。

本当に自分は何が好きなのか、何に関心があるのかを見極める上で、大事な考え方だと思いました。

ロールモデル思考を行動に移すのも、自分が何が好きかという、自分の志向性を知り、そこに向かっていくということですが、本当にそうだと思います。好きでないことには、人間程度の差はあってものめり込むことはできません。

言葉を換えれば、直感を信じるということですね。

私の好きな漫画「Beck」に出てくる主人公は、「直感を信じて」生きて、ロックバンドとして成功していく姿が描かれています。

BECK(1) (KCデラックス)

BECK(1) (KCデラックス)

連載が開始されたのは結構前ですが、多くの人に受け入れられたのも、「好きを貫く」という姿勢が、今の若者が求めている姿だからだと思います。

うろ覚えですが、こんな台詞がありました。
「直感を信じるということは、あるときは、世の中の常識と反対方向にいくことで、それはとても勇気のいることだ。」

私は現在一般社会ではとても少数派の仕事をしています。職業を聞かれると、大体多くの人は「具体的に何やってるの?」とか「どうやって生活してるの?」と聞かれる類の仕事です。

中学、高校までは将来像と言っても漠然としていました。しかし、大学に行っていろんな人と出会い、自分が好きなこと、やりたいことはこれなんだとという直感を信じて、進んで現在に至っています。

それで生きていけるのかなということも、あまり考えていませんでした。若いんだから何とかなるさという、根拠のない自信だけはあったように思います。今の仕事を始めて、もうじき11年になりますが、好きを貫いてきたことはよかったと思います。

みんなが進むからという動機で進んでも、そこには心の底からのわくわくしたものはうまれません。
高速道路をすすんで、より険しい道を行くのもいいでしょうし、「けもの道」を進んでいくのもいいでしょう。私が進んだ道は、あまり同業者がいないから、「けもの道」の方に入るんでしょうね。

ブログをいろいろと書いたり、ネットを見たりすると、私の仕事環境にも、ネットの大きな流れ確実にきていると思いました。

その中で、「ウェブリテラシー」を身につけろと、梅田氏は書いています。

ウェブリテラシーとは、たとえばこんなことである。
(1)ネットの世界がどういう仕組みで動いているかの原理は相当詳しく徹底的に理解している。
(2)ウェブで何かを表現したいと思ったらすぐにそれができるくらいまでのサイト構築能力を身につけている(ブログ・サービスを使って文を書くとかそういうことでなくて)
(3)「ウェブ上に分身にカネを稼がせてみよう」(『ウェブ進化論』第1章)みたいな話を聞けば、手をさっと動かしてしこに新しい技術を入れ込んだりしながらサイトを作って実験ができる。広告収入の正確な流れも含め「バーチャル経済圏」がどういう仕組みで動いているのかの深い理解がある。
(4)ウェブ上に溢れる新しい技術についての解説を読んで独学できるレベルまで、ITやウェブに対する理解とプログラミング能力を持つ

1〜3は大体なんとかと思いましたが、4のプログラム能力までいくと、ちょっと敷居が高いですね。今の仕事には不要かもしれませんが、もし10代でこの本を読んでいたら、間違いなくプログラムの勉強をしたでしょう。


この本で、最も強く印象に残った言葉が

「Only Paranoid Survive」(病的なまでに心配性な人だけが残る)

アンディ・グローブの言葉です。

社会は急激に変わりつつある中で、この言葉は本当に忘れてはならない言葉だと感じました。

「Sooner or lator,something fundamental in your business world will cange」(遅かれ早かれ、あなたのビジネス世界における基本的な何かが変わってしまう)というのもグローブの言葉なのだが、「遅かれ早かれ」がくせ者で、「変わるのが遅い」と思えば「まあすぐは変化しないから、今のままでいいや」となるが、「変わるのが早い」と思えば緊張感がみなぎる。この「遅かれ早かれ」に対する感覚が「病的なまでに心配性」かどうかを分ける。いま自分がやっていることを、未来の観点から懐疑する感性がどれだけあるか。それが強ければ強いほどサバイバルできる。サバイバルでしようという強いエネルギーは、サバイバルできた先の世界への希望から生まれ、自らの現状への懐疑の感覚を向けることで、日常の一瞬一瞬の「時間の使い方」への関心が高まっていく。

11年くらい、なんとか今の世界でやってきましたが、明日はどうなるか分かりません。
私の仕事する環境も、この10年で大きく変わってきたと思います。

「病的なまでに心配性」でなければ、この先自分の飛躍はないのだとこの本を通して感じました。

梅田氏のように、水を飲むように読書もしなければならないと思います。いろんな面で不勉強ですから。

最近読んだ本で、私の心にヒットしたのを上げてみると
「ワークショップ」「学び方」「仕事術」「マーケティング」「広告」「表現」
といった所でしょうか。

分野を決めてまた、学習し、ブログやネット上で知的生産を続けていきたいと思います。
不勉強なだけに、まだまだやっていかねばとおもった本でした。