哲学的な何か、あと科学とか
- 作者: 飲茶
- 出版社/メーカー: 二見書房
- 発売日: 2006/11/30
- メディア: 単行本
- 購入: 3人 クリック: 73回
- この商品を含むブログ (62件) を見る
http://www.h5.dion.ne.jp/~terun/の書籍化です。
量子力学と、哲学について、分かりやすく解説してあります。
量子力学というと、ずっと以前NHKスペシャルで、「アインシュタインロマン」で見て以来、初めて詳しく知りました。
- 量子力学
- 2重スリット実験
- シュレディンガーの猫 問題
などが分かり易く解説されています。
何よりも、この量子力学が与えた影響のすごさは、
量子力学が、科学に与えた革命的な影響……
それは人類の科学観を
「真理探究の学問」から「道具主義的な学問」」へと転換させてしまったことである。
これは、かなり衝撃的ですね。
科学を特に勉強してこなかった私の頭には、少なからず、科学者は科学を通してこの世の真実を求めていく人だと思っていましたが、量子力学の登場により、科学は真理に到達できない、ただの、計算を便利にするための道具になってしまったと言うことです。
つまるところ「科学とは、今のところまだ反証されていない仮説に過ぎない」という敗北宣言でもある
前提を確認するための実験が無限に続く。完璧なところにはたどり着けない
すべての科学理論は「反証不可能」な疑似科学なのである。
このようにも筆者が書いているとおり、科学にはすべて、前提条件があります。
公理や、定理と言ったものですが、それも、前提を確認していったら、永遠に終わらない。
そうなると、納豆でダイエット、とか、マイナスイオンが体にいい、などというエセ科学も科学も同じだと言うことですね。
この本は、哲学的問題としてさらに、脳がなぜ質感を感じるのかという、クオリア問題や、認識、意識についても解説されています。
最後のどこでもドアを用いた、私という存在についての譬えはとても秀逸です。
「三千年を解くすべを持たない者は
闇の中 未熟なままに その日その日を生きる」(ゲーテ)
本当の意味での哲学の必要性を分かりやすく描いた良書だと思います。